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サーキュラーエコノミーへの企業の取り組み事例

大量生産・大量消費による環境汚染に歯止めをかける新しい経済システムとして、“サーキュラーエコノミー”に注目が集まっています。先進的な企業では既に多くの取り組みがなされていますが、それらは単なるポーズではなく、企業自身のためにも大きな意味があります。本記事では、企業がサーキュラーエコノミーへの取り組みを行う必要性と、有名企業による具体的な先例についてご紹介します。

 

サーキュラーエコノミーとは

サーキュラーエコノミーとは、製品をつくるにあたって資源を使い捨てる従来型の「リニアエコノミー(直線型経済)」に代わって注目される、新しい経済システムです。

サーキュラーは「円循環」を意味する「サークル(circle)」に由来する言葉。その名前が表す通り、サーキュラーエコノミーでは製造において必要となる資源を再利用したうえで循環させ、廃棄物の排出を最小限にとどめた循環型の社会構築の実現が目指されます。

 

In a circular economy, waste is the new raw material. There is no longer the line: produce, consume and then throw it away. 

「サーキュラーエコノミーにおいて、廃棄物は新しい原材料です。そこでは、「生産」「消費」「廃棄」という流れはもはや存在しないのです。

引用:From a linear to a circular economy|Government of the Netherlands

 

企業の取り組みが必要な流れ

サーキュラーエコノミーへの取り組みは、企業が今後を生き抜くために必要不可欠な課題です。

OECD(経済協力開発機構)が2018年に出した報告書によると、世界全体の資源利用料は2060年までに現在の約2倍である167ギガトンまで増加し、それに伴う更なる資源の採掘・加工によって、地球の環境汚染が加速するとされています。

製品の材料となる資源が枯渇するという近未来は、製造業においては死活問題です。我々人類が生きる地球を守るという長期的視野においてはもちろんのこと、資源不足による経済損失を防ぐためにも、企業によるサーキュラーエコノミーへの取り組みは急務であると言えるでしょう。

事実、先見の明を持つ企業では、既に多くの取り組みが行われています。以下では、それらのうちから具体的なものをいくつかピックアップしてご紹介します。

参考:原材料資源の利用は2060年までに2倍増加し、環境に深刻な影響を及ぼす|OECD

 

サーキュラーエコノミーの事例紹介

企業のサーキュラーエコノミー事例①:Google社

世界的なテック企業であるGoogle社は、いち早くサステナブルな社会構築に取り組んできた企業のひとつです。

同社は2012年、企業活動における使用エネルギーをすべて再生エネルギーで補うと宣言し、2017年にそれを達成しました。その志向性はサーキュラーエコノミーにおいても同様で、2019年には「A circular Google in a sustainable world(持続可能世界における循環型のGoogle)」を発表し、限りある資源を最大限に再利用するための取り組みが進められています。

具体的なものとしては、Googleは発生した廃棄物を埋め立て処分せずに転換する手段を見出し、それを応用することによって全世界のオフィスで71%、データセンター運用では90%という高い水準での廃棄物転換率を達成しています。また、同社の見据える先は社内にとどまりません。製品が市場に出てからも長く再利用されるよう、材料にできるだけ多くの再生可能素材を使ったり、商品パッケージからプラスチックを排除して100%リサイクル可能にしたりといった取り組みも行われています。

参考:サーキュラー エコノミーへの移行を加速する|Google

 

企業のサーキュラーエコノミー事例②:スターバックス

同名のカフェチェーン展開で有名なスターバックス社は、2018年に世界自然保護基金(WWF)と協力して立ち上げた新しいフレームワーク「Starbucks Greener Stores」を発表しました。

「より緑に」という意味のGreenerという名前の通り、Greener Storesの店舗では廃棄予定だった素材などを内装に利用したり、バリスタの着用するエプロンが再生プラスチックで作られていたりなど、徹底的に環境に配慮された運営がなされています。Greener Storeの展開は同社拠点である北米を筆頭に、カナダ・イギリス・上海・チリなど世界中へ拡大していて、ここ日本でも2021年11月に1号店となる「皇居外苑 和田倉噴水公園店」が開店しました。同社は今後もGreener Storesの展開を増やし、2025年には全世界で10,000店舗にまで増やす見通しを立てています。

しかし、スターバックスのサーキュラーエコノミーへの取り組みは、Greener Storesにとどまりません。同社の日本法人スターバックス コーヒー ジャパンでは、2021年11月より、繰り返し使える耐久性の高いカップを「借りて・返して・再利用する」という循環型プログラムを都内一部店舗で開始しました。同社では、これまでFSC認証を受けた紙カップの導入が進められており、それによって1杯あたり約6割のプラスチックごみが削減されています。これだけでも大幅な削減ですが、今回の循環型プログラムが全国的に展開されれば残り4割のプラスチック使用も防ぐことができ、更なるサーキュラーエコノミーの実現が期待できるでしょう。

参考:

スターバックス、サーキュラーエコノミー型店舗を上海にオープン|IDEAS FOR GOOD

プレスリリース(2021/11/17)|スターバックス コーヒー ジャパン

 

企業のサーキュラーエコノミー事例③:ファーストリテイリング(ユニクロ)

その他のSDGsと同様、サーキュラーエコノミーへの取り組みについても、日本は海外に比べて遅れを取っているのが現状です。しかし、一部の先進的な企業は欧米企業に負けない取り組みを始めていて、なかでも代表的なのがファーストリテイリング社です。

同社が擁するブランドの1つであるUNIQLOでは、2006年から「全商品リサイクル活動」と称して、自社製品の回収・再利用を推進する活動を進めてきました。そして2020年、それを強化した新しい取り組みとして、「RE.UNIQLO」を始動。同プロジェクトでは、回収した服から再び服を作る循環型の生産・消費サイクルの構築が目指されており、完全リサイクルのダウン素材を使用した「リサイクルダウンジャケット」を筆頭に、さまざまな商品が生み出されています。また現在では、服を服として再利用するだけにとどまらず、回収した服から固形燃料(RPF)や自動車用防音材を再生産する試みも始まっています。

参考:ユニクロ、自社のダウン商品を再生・再利用した新商品を発売。「服から服へ」の取り組みを強化 |Circular Economy Hub

 

まとめ

今後の地球環境を守るためだけでなく、資源不足による経済損失を防ぐためにも、企業によるサーキュラーエコノミーへの取り組みは必要不可欠です。実際、先進的な企業では取り組みが既に進められており、今回ご紹介したのはその一部に過ぎません。社会全体、ひいては自分自身の未来を守るためにも、前向きなサーキュラーエコノミーへの取り組みを進めていきたいものです。

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