テレワークが地方を変える!?~新しい働き方がもたらす地方創生の可能性~

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最近、国や行政の推進とコロナ禍もあいまって「テレワーク」という新しい働き方が定着してきました。テレワークは、オフィスではなく、自宅やカフェなど、場所を選ばずに働くスタイルですが、実はこのテレワークが、地方の未来を大きく変える可能性を秘めています。本記事では、テレワークが地方にもたらす様々なメリットや課題、そして未来への展望について詳しく解説していきます。

地方移住ブームと終焉

東日本大震災のあと、国が「地方創生」を政策として取り組んだ結果、「地方移住」という考え方が浸透して、実際に移住する人々が増加し、一時期、地方移住がブームとなりました。その後、コロナ禍によって、テレワークが身近になったことで、地方移住が再燃すると同時に、働き方自体が大きく変わってきました。

ただ、コロナ禍が落ち着いた2023年頃から、東京都の人口において、転入が転出を上回る「転入超過」となり、総務省では、コロナ禍前の東京一極集中の動きに戻りつつあるとしています。(参照元:「住民基本台帳人口移動報告 2023年結果」

こうした状況のなか、地方創生は、より重要になってきていると言えるでしょう。

地方創生の切り札「テレワーク」

テレワークの最大の魅力は、働く場所の自由度です。都会に住んでいなくても、地方にいながらにして、都会の企業で働くことが可能になります。この自由度の高さは、地方の人口減少問題に一筋の光を投げかけています。

テレワークをさらに普及させることによって、都会の一極集中が緩和され、人々が地方へ移住する流れが生みだされるかもしれません。地方出身者がUターンしたり、都会暮らしに疲れた人がIターンしたりと、様々な形で地方への人口流入が促進される可能性を秘めています。

人口が増えれば、地域の活性化にも繋がります。空き家の活用や、新たなビジネスの創出など、テレワークは地方経済を活性化させる起爆剤としての役割も期待できます。

また、テレワークは企業にとってもメリットがあります。優秀な人材の確保が容易になるだけでなく、オフィスコストの削減にも繋がります。さらに、従業員の通勤ストレスを軽減し、ワークライフバランスの向上にも貢献します。

地方企業にとっては、テレワークは人材不足解消の切り札となります。地理的な制約を超えて、全国から優秀な人材を採用できるようになるからです。また、テレワークを導入することで、企業のイメージアップにも繋がり、採用活動にも有利に働くことでしょう。

地方創生を目的としたテレワーク実証事例

内閣府地方創生推進室では、デジタルの力を活用して地方創生を加速化・深化し、「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指し、東京圏への過度な一極集中の是正と多極化を図ることを目的として、「地方創生テレワーク」を推進しています。

そのなかの地方創生テレワークモデル創出事業では、すでに実証事例もあります。

日本航空株式会社では、「空の移動を軸に、スマホ一つで目的地までをシームレスに移動できるサービスを提供し、誰もが自由に移動できる社会の実現」を目指して2022年2月に「JAL MaaS」のサービスを開始しました。地方の自治体と連携し、地域に寄り添った交通課題の解決と移動需要(バスや高速船)の喚起が目的で、徳島県、山形県、青森県などとの取り組みからスタートしました。その後、飛行機利用者からの不便を感じる声を踏まえて、交通渋滞、本当中北部への移動手段などの課題解決に向けて沖縄県での導入を検討し始め、2022年11月に4つの事業者と実証を開始しました。

株式会社ラソナは、東京、沖縄、ベトナムに事業所があり、世界中でテレワークを実現しています。地方創生テレワークでは、札幌市でワーケーションを行いながら、地元企業と連携して、プログラミング講座やWebデザインセミナーなどを行いました。

アルファコム株式会社は、コロナ禍で社員のテレワークが進み、今後の働き方として、「都内のオフィスに集まって働く」ことの見直しを始めました。また、人手不足による首都圏での人材採用難や、BCPの観点から、地方での雇用も積極的に目指し、さらに、社員の仕事へのエンゲージメント向上を目的としたワーケーション導入にも関心があったことから、魚津市で将来的な拠点設置も見据えたワーケーションの実証を行いました。

この地方創生事業には、9社が実証協力企業として参加しました。

参照元:「地方創生テレワーク モデル創出事業事例集」

企業を支援する自治体の事例

地方創生を目的として、数多くの自治体が企業誘致や支援を行っています。

東日本大震災後の避難指示で約5年間無人の町となった南相馬市小高区では、当初、小さなコワーキングスペース開設から始まった取り組みが、2017年に官民連携の「起業型地域おこし協力隊」という形で動き出しました。コロナ禍以降は、リモートワーカーなども巻き込んでプロジェクトを実施しています。

また、2040年には人口が半減すると予測が出ている能登町では、2015年から地域の信用金庫と連携して、人口減少に対する取り組みを続けています。2020年からは「企業版ふるさと納税」を活用した課題解決型の関係人口対策を加速させ、2021年に整備したテレワーク拠点を活用し、企業のワーケーションや研修、複業人材の活用などさまざまな関係人口を創出する施策を行っています。

東京から近く自然豊かな環境という大きな利点のある山梨県では、コロナ禍のテレワークの普及をきっかけに、山梨県にも拠点を置く企業の新たなビジネスの創出を支援する取り組みを行っています。

こうした事例は、Webサイト上で常に最新事例を更新していますので、確認してみてください。

参照元:「地方創生テレワーク事例集」

テレワーク導入の課題と解決策

テレワークの導入にはいくつかの課題も存在します。企業にとっては、セキュリティ対策やコミュニケーションの円滑化、労働時間管理などが挙げられます。また、働く人にとっては、仕事とプライベートの境界線が曖昧になりやすく、孤独感を感じやすいという声も聞かれます。

これらの課題に対して、国や自治体は様々な支援策を打ち出しています。例えば、テレワーク導入に関する相談窓口の設置や、セキュリティ対策の助成金制度などがあります。また、企業側も、コミュニケーションツールの導入や、定期的なオンライン交流イベントの実施など、工夫を凝らしています。 テレワークの課題解決には、テクノロジーの活用も欠かせません。例えば、仮想オフィスツールを使えば、まるで同じオフィスにいるかのようにコミュニケーションを取ることができますし、タスク管理ツールを使えば、進捗状況を共有しやすく、チームワークを円滑に進めることもできます。

テレワークが描く地方の未来

テレワークの普及は、地方の未来を大きく変える可能性を秘めています。人口減少や少子高齢化などの課題を抱える地方にとって、テレワークは新たな活力を生み出す起爆剤となるでしょう。

テレワークは、地方は「住む場所」から「働く場所」へと変貌を遂げ、多くの人々が地方の魅力を再発見するきっかけとなるはずです。都会と地方の垣根を越え、誰もが自由に働ける社会の実現に向けて、テレワークはますます重要な役割を担っていくことでしょう。

テレワーク導入には課題もありますが、国や自治体、企業の取り組みによって、これらの課題は解決されつつあります。テレワークがもたらす地方創生の可能性に、ぜひ注目してみてください。