TOKYO PRO Market上場企業が集う経営者交流会「BELLS」に登壇
2025年10月9日、TOKYO PRO Market上場企業経営者の会「BELLS」第四回定期交流会 が東京會舘にて開催されました。
主催は、株式会社日本M&Aセンター TOKYO PRO Market事業部。 全国から100名を超える上場企業経営者が集まり、会場は熱気に包まれました。
この度、ワンビ株式会社 代表取締役社長 加藤貴がゲスト講演として登壇し、 「上場1年で!? 国産セキュリティメーカーの攻めと守り」をテーマに講演を行いました。
なぜ、ワンビはTOKYO PRO Marketを選んだのか
ワンビは2024年1月、TOKYO PRO Market(TPM)へ上場しました。
創業当初から上場を目指してきた当社が、なぜこの市場を選んだのか。
加藤社長は講演の冒頭で、その「原点」を語りました。
「創業時は、マザーズ市場(現グロース市場)での上場を想定していました。 しかし、年々ハードルが上がり、“資金調達ありき”の上場になりつつあったのです。」
ワンビの主力製品であるTRUST DELETE(トラストデリート)は、電源がオフでも遠隔データ消去が可能という特許技術を持ち、 市場のニーズにマッチして売上が伸び続けていました。結果として、外部資金を必要としない成長基盤が整っていたのです。
「本来の目的は、社会的な信用を得ること。 TPMを知ったとき、『これだ!』と感じました。」
TOKYO PRO Marketは、内部統制・監査体制を備えつつ、 中堅・中小企業でも上場を通じて社会的信用を高められる市場です。
加藤は、「社員・顧客・社会への信頼を得る上場」というビジョンに共鳴し、TPMを選びました。

上場の翌日から海外からの買収オファーが殺到
上場の翌日、ワンビに思いがけない波が訪れます。
それは――海外からの買収・出資オファーの急増でした。
「エンドポイントセキュリティの市場を一気に拡大するには、 ワンビを買収してしまうのが早い、という提案が次々に届きました。」
その経験は、逆に大きな自信につながりました。
「ワンビの技術は世界に通用する」と確信し、“買収される側”から“世界に挑む側”へと意識が変化したのです。
一方で課題も見えてきました。 創業時のメンバーは加藤と同世代で、社員の高齢化が進行。 「経験値の高い仲間に支えられながらも、次世代の育成が急務」と語りました。
攻めと守りの経営戦略 ― ワンビの次の一手
講演の中で紹介されたキーワードは「攻めと守り」。
ワンビは上場によって、両輪の経営戦略を明確にしています。
攻め:成長への挑戦
- SaaSモデルによるストック型売上の拡大
- OEM展開・受託開発による安定チャネルの確保
- 特許技術「TRUST DELETE」による競争優位性の維持
- グローバル市場への進出と連携
守り:企業価値を守る仕組み
- 上場によるガバナンス・透明性の確保
- 財務・監査体制の整備
- 情報漏洩リスクに対する「遠隔データ消去」技術
- 社員の高齢化への人材戦略
「攻めと守りを同時に行うことで、ワンビは持続的な成長を実現できる」と加藤は語ります。

アイキューブドシステムズとのT.O.Bで新ステージへ
上場後、ワンビは「自社にない強みを持つ企業」との協業を模索。
その中で出会ったのが、東証グロース市場上場の株式会社アイキューブドシステムズです。
同社は全国に拠点を持ち、ワンビの10倍の売上規模を誇ります。
2025年、ワンビはT.O.B(株式公開買付)を通じてグループ入りしました。
ワンビは経営権を維持しつつ、アイキューブドのリソースを最大限活用。
両社の技術と販売網のシナジーで、次の飛躍を目指しています。
「グループ企業となった今も、ワンビとして独自の価値を発信し続けます。 顧客と社員の幸せのために、攻めと守りのバランスを大切にしていきます。」
会場の熱気と経営者同士の共感
講演では、ユーモアを交えた「T.O.B=Take Over Bit(謎解き)」のスライドに会場が笑いに包まれる場面も。 真剣な表情で聞いていた経営者たちが、最後には笑顔でうなずき、共感の輪が広がりました。
講演後には多くの経営者が挨拶に訪れ、 「ワンビの理念に共感した」「社会課題に真摯に向き合う姿勢に勇気をもらった」 といった声を多数いただきました。
まとめ ― 信頼を礎に、世界へ挑む
TOKYO PRO Market上場から1年。
ワンビ株式会社は、「社会的信用」と「技術革新」の両立を掲げ、次なる挑戦を続けています。
「私たちが情報漏洩を防ぐ」という使命のもと、 日本発のセキュリティテクノロジーを世界へ。
社員・顧客・社会の信頼を守る企業として、これからも進化を続けます。