ITスキル資格でキャリアアップを実現!情シス担当者が取得すべき資格とキャリアアップ戦略

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人材は、「人財(会社の財産となる社員)」とも表されますが、「人在(ただ存在するだけの社員)」「人罪(存在が会社の不利益になる社員)」というネガティブな表記が使われることもあります。

「人在」や「人罪」にならないように、スキルの向上、資格取得を目指しましょう。それは、自分自身の仕事の成果に直結する上、周囲にも良い影響を与えますし、社外や人材マーケットにおいても好印象を生みます。 この記事では、情シス担当者に必要なスキルと、それらに関係する資格について解説します。

情シス担当者が身につけるべき主要なITスキル

業種や業態、情シス部門の規模や業務機能の考え方によって必要となるスキルは様々です。

個人を考えた場合も、年齢や経験値によってキャリアの定め方も違い、必要とされるスキルも変わってきます。たとえば、組織管理を中心とするマネージャー職に必要なスキルセットと、高度なレベルの技術職に必要なスキルセットでは違いがあります。

ただ、情シス部門での日々の業務の円滑な推進には、どんな領域の担当であっても、技術スキルとビジネススキルの両方が必要ですし、どんな組織形態の情シス部門にも、どんなキャリアイメージにも共通しているものがあります。

技術スキル

まず、技術スキルと、関連する試験/資格を確認しましょう。

試験、資格を示した表の右欄は「J:国家試験」「N:特定のベンダーやプロダクトに特化しないニュートラルな資格」「V:ベンダーが認定する資格」の区分を意味します。

IT全般の基本的スキル

新入社員として情シス部門に配属された方、異動によって情シス部門に入られた方は、基本的な知識とその周辺のスキルが必要ですが、まず、次のような資格取得を目指すことをお勧めします。

* CompTiaの認定資格には、この「IT Foundation」以外にも、ネットワークやセキュリティなど、これ以降の章に関連するものが多くありますが、本記事では、全てを紹介していません。詳しくは、CompTia日本支局のホームページをご覧ください。

ネットワーク・インフラ構築・運用スキル

全ての情報システムはネットワーク技術要素(TCP/IP、ルーティング、スイッチング、VPN、無線LANなど)なしに語ることができません。インフラの担当者はもちろんのこと、業務システム担当者であっても、ヘルプデスク担当者であっても、レベルの差こそあれ、欠かすことはできません。

ネットワークに関する基本的な知識は、「基本情報技術者試験」「応用情報技術者試験」でもカバーしています

サーバ・OS構築・運用スキル

OSを含めたサーバの構築、運用スキルもネットワーク関係のスキル同様、必須と言えます。また、現在、サーバの仮想化技術が進んでいます。下表では、VMwareを取り上げていますが、仮想化技術は他にもあり、その知識やスキルを身につけることも重要課題となっています。

*Microsoftの認定資格は、ネットワーク関連やセキュリティ関連など、これ以外の章に関連するものが多くありますが、本記事では、全てを紹介していません。詳しくは、Microsoft資格情報のWebページをご覧ください。

クラウド技術スキル

AWS(Amazon Web Service)、Azure(マイクロソフトのクラウドサービス)、GCP(Google Cloud Platform)は、クラウドサービス御三家です。それぞれ、少しずつ違った特徴を持っていますが、既に利用していれば、どんな使われ方をしているのか、まだ利用していなければ、3社の比較と具体的なサービス内容を知ることは、ネットワーク、サーバ、業務システムの観点からも役に立ちます。

*AWS、Azure、Google Cloudに関する資格は、それぞれ単一のものではなく、分野ごとにテーマが分かれて、複雑な形式になっています。詳しくは、それぞれのリンクから、紹介Webページをご覧ください。

セキュリティスキル

セキュリティに関するスキルも必須要件です。セキュリティ対策について、社内全般をリードしていかなければならない情シス部門においては、「知らない」で済まされる領域ではありません。セキュリティ対策の人的、組織的側面と技術的側面の両方から、知識とスキルの向上を心掛けましょう。

データベーススキル

かつては、RDB(リレーショナルデータベース)に関するスキルを中心としていましたが、ネットワークベースのITが定着してからは、NoSQL(非構造化/半構造化データモデル)の利用も増えています。

できれば、RDBでひとつ、NoSQLでひとつのプロダクトに習熟しておきたいものです。

データベースに関しては、ひとつを知っておくことで、他のプロダクトにも応用が利くようになります。

(NoSQLについての資格は、クラウド技術の一分野として位置付けされています)

プログラミング・スクリプトスキル

プログラミングを内製している企業もあれば、外注している企業もありますが、社内で標準としているスクリプト系のプログラミング言語をひとつ習得しておけば、他の言語も、ある程度までは、読み取ることができます。そうすることで、外注している場合でも、ベンダーとのコミュニケーションにも役立ちます。

ヘルプデスク、ユーザーサポートスキル

ヘルプデスク業務には、実際のユーザー対応スキルやトラブル対応スキルもありますが、トリアージ(問題切り分けと優先順位付け)、エスカレーション(担当者連携)、報告書の維持管理というプロセスの管理的スキルもあります。

また、問題を抱えているユーザーとの、適切なコミュニケーションも大切です。これは、座学だけでは身につかないものですので、実際に経験してみることもスキル向上の選択肢となります。

その他のスキルと試験、資格

ビジネススキル

次にビジネススキルを確認しましょう。ビジネススキルでは、対応する資格はあまりなく、実務の場面で、スキルを発揮する必要があります。

コミュニケーションスキル

「コミュニケーションが重要」とは、「話し上手」のことではありません。「相手を理解」し、それをもとに「自分の考えをわかりやすく説明」し、「利害の一致を目指す」ことです。このスキルの向上のためには、情報技術のスキルをベースとした、数多くのコミュニケーションの場面を経験することが役立ちます。

プロジェクトマネジメントスキル

プロジェクトは、「定められた目的を、複数の人間で、決められた期間、予算、品質で達成すること」ですが、そのための手法を身につけることと、プロジェクト推進のための管理能力/リーダーシップがスキルの内容になります。

ドキュメンテーションスキル

情シス担当者には、情シス部門内、利用部門/システム要求部門、経営層、ベンダーと言うようなコミュニケーションの相手がいます。これらの相手とのコミュニケーションにおいて「言った、言わない」「聞いた、聞いていない」という空しい状況を避けるために、わかりやすいドキュメントを準備することが必要です。

論理的思考力

論理的思考は、課題に対し、論理を組み立てて対応にあたることですが、問題解決能力と比べると、抽象度が高く大きなテーマのケースに利用されるスキルだと言えます。 このスキルの醸成には多くの手法がありますが、「具体的事象を抽象化する」「抽象的な論理を具体的に展開する」「仮説検証を行う」などのアプローチがあります。

プレゼンテーションスキル

情シス部門で、「パソコンに向かって黙々と作業」という姿も少なくなっているとは思いますが、プレゼンテーションスキルもドキュメンテーションスキル同様、コミュニケーション方法として重要です。

このスキルは、わかりやすく説得力のある資料の作成と、わかりやすく説得力のある話し方の両方で構成されます。

その他のビジネススキル

社内業務についての知識を持つことは、情シス部門にとって必須です。知識としては、各部門の業務プロセス、業界関連法規などがあります。

効率的なITスキル・資格取得のための7ステップ

自身のキャリアのためには、計画を立てて、それを着実に進めて行くことが重要です。計画は以下のような7ステップで立案、実行します。

Step1:
自身のスキルレベルとキャリア目標の明確化(自分のスキルの棚卸をするとともに、キャリアの最終目標とマイルストンを定義します)

Step2:
必要なスキル・資格の選定(最終的に必要なスキルと資格、マイルストンごとに必要なスキルと資格を選びます)

Step3:
学習方法の選択(最初のマイルストンに向かう方法として、参考書の利用、通信教育、オンライン講座、外部研修などの組み合わせを考えます)

Step4:
学習計画の作成と実行(考えた学習方法を実行します。その際、試験の受験日から逆算した学修計画を立てます)

Step5:
試験対策と模擬試験の活用(学習の中では、過去問題集や模擬試験も利用します)

Step6:
実務経験を通じたスキルアップ(OJTも重要です。スキルアップにも、学習したことの復習にも役立ちます)

Step7:
スキルアップの確認、資格取得(スキルアップと資格取得は別のものですが、両方が達成できた場合は、次のマイルストンに向かうため、Step3から、新しいサイクルを開始します。どちらかでも未達成の場合は、Step2やStep3、Step4から、再度、実行します)

情シス経験者が語る!スキルアップ・資格取得のメリットと注意点

ここでは、経験者からのいくつかのヒントを提供します。

スキルアップ・資格取得のメリット

知識習得、スキルアップ、資格取得/試験合格、実務は相関関係にあります。この相関関係がうまくいくことで、業務のパフォーマンス向上が可能になります。そして、その結果が、給与の向上やキャリアアップにつながるのです。

学習を進める上での注意点

学習に必要な資源は、「時間、資金、情報」です。

  • 時間:「計画的に継続」がキーワードです。
  • 資金:自分への投資は、惜しまないでください。ただし、「金さえかければ」では、成功しません。
  • 情報:出題傾向の情報や、試験に合格した人からの情報はとても貴重です。

モチベーション維持のコツ

もうひとつの大事な資源は、自分のモチベーションです。目標であるキャリアイメージを、常に描きながら学習することと、学習スケジュールにブランクを作らないことを意識してください。

資格取得後のキャリアパス例

資格取得後は、それをもとにスキルを充実させ、情シス部門内でのキャリアアップを目指してください。また、転職によるキャリアアップも可能でしょう。

「組織や人材を管理するマネージャー系」を目指す方もいれば、「情シス分野でのマネージャー系(プロジェクトマネージャー、サービスマネージャーなど)」、「技術のスペシャリスト」を目指す方がいらっしゃるかもしれません。いすれにしても、スキルと資格を組み合わせた訴求力によって可能になります。

まとめ

情シス要員として必要なスキルと、それに関係する試験や資格を紹介しました。闇雲に、資格取得を目指すのではなく。情シス部門の業務を知り、それをベースにキャリアを考えたうえで、スキル向上と資格取得を目指してください。