広島県庁は、2019年まで職員用の端末として、デスクトップ型のPCを一人一台配備していました。また、それ以前から県庁におけるICTを活用した働き方改革の取り組みとして、携帯性に優れるタブレットの導入や、出張時の持ち出し用端末にシンクライアントシステムを導入し、「どこでもワーク」と名を打った、どこでも働ける環境づくりを推進。しかし、通常のPCに加えて専用端末が必要となることから二重に管理コストがかかるうえ、制度導入当初のテレワークは、1年以上に渡って利用者がゼロという状況でした。そうした状況を改善するため、職員個々のライフサイクルに応じた働き方や、生産性の向上を図ることを目的に、3年間で3回の制度改正を実施。また、2018年の西日本豪雨災害で業務に影響が出たことを契機に、広島県庁は災害時でも行政機能を継続できる体制づくりを強化しました。2019年の下半期には職員約7,000台の端末をLTE対応ノートPCへ刷新し、庁内外問わず同一環境で業務可能な基盤を整備しました。その結果、2023年度には年間約3,200人の職員がテレワークを利用し、延べの利用日数は約3万日となりました。
ノートPCを導入し、早くからテレワーク制度を整えたことで、普段のテレワークの利用者数増加はもちろん、新型コロナウィルス感染対策の際も、既存の環境から円滑にテレワークや分散勤務に対応することが出来ました。また、テレワークの推進以外にも、 “仕事は固定されたデスクで行うもの” という職員の価値観にも変化が生まれ、これまでは紙の資料を用意して会議等を行っていましたが、今は一人一台のノートPCで資料が共有できるためWEB会議だけではなく、対面の会議であってもペーパーレス化が進みました。資料印刷にかかる物理的、人的なコスト削減はもちろん、特定の場所に固定されない形で会議が出来るので、それらの調整に要する手間を削減でき、よりスピーディーに業務を進められるようになりました。さらに、ノートPCにしたことで会議の最中にちょっとした疑問点があっても、その場で調べて回答することが可能になり、同じ時間枠の中でも成果と熟度の高い議論が出来るようになったと感じています。
ノートPCを持ち運べることで利便性は向上しましたが、同時に、持ち運ぶ時や出張時の紛失・盗難による情報漏洩リスクが顕在化。自治体では情報のリスク管理が非常に重要視されるため、万が一の事態に備え、パソコン導入の際の入札条件として「遠隔消去機能」を必須としました。これによりBCPと情報セキュリティを同時に実現する仕組みを構築し、遠隔消去機能を備えたセキュリティ製品の「TRUST DELETE Biz パナソニック版Plus」も大きく貢献してくれています。設定内容は非公開ながら、紛失連絡を受け次第、夜間・休日を問わず即時にロック/ワイプできる体制を確立。職員向けには庁内ポータルで連絡フローを周知し、誰でも迷わず初動対応できるようにしました。ルールと技術を組み合わせたこの仕組みが、利便性を損なうことなく安心して新しい働き方に挑戦できる環境を整え、災害や突発事態にも強い行政サービスを実現しています。
今後も職員一人ひとりのライフスタイルに寄り添い、デジタル技術で生産性を高める取り組みを継続する予定です。セキュリティと利便性の両立をキーワードに、新しい技術や運用方法を積極的に取り入れ、常に進化する庁内ワークスタイルを目指します。
総務局 県庁情報システム担当
担当課長 森田谷 智昭氏
広島県庁様からは「ノートPCの全庁展開でテレワークは一気に現実的になりました。TRUST DELETEによる遠隔ロック/消去の仕組みがあることで、安心の“どこでもワーク”を進められています。今後もセキュリティと利便性を両立させ、より生産性の高い環境を作っていきたいと考えています。」との評価をいただきました。 ワンビは今後も、お客様のニーズに応える安全なIT環境づくりをサポートしてまいります。